平成20年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告30測する分割電極セルを開発した。本分割電極セルの特長は図5に示すように、セパレータのみを9分割する方式であり、かつ分割部とセパレータ流路溝とを対面させることによってMEAの電気化学的な反応やプロトンの移動には一切影響を与えない構造である。出力レベルも通常のセルと変わらない特性であり、通常作動時の発電の癖(低発電部:M2,B1,B2)が計測されている(図6)。この手法により、新たに開発した素材を用いて調製したMEAの発電分布と経時間性能劣化の面内の特性を診断するために用いる。図7に性能劣化研究への適用例を示す。長時間使用により生じている分割部の接着と絶縁を行っているエポキシ材料の剥離防止などが今後の改良開発課題である。 5.2 分布定数型等価回路によるMEAの機能低下部位の診断法開発 新しく作製したMEAの構成部位である電解質膜、電極層内電解質(イオノマー)および電極層内炭素のインピーダンス計測、および電極における電気化学反応が正常に行われているか否かを診断するため、また同上部位のインピーダンスや反応が運転により生じる経時変化を診断するために、TLM-ACIS(Distributed Transmission Line Method ACIS, 分布定数型等価回路と交流インピ-ダンス法とを組み合わせた診断法)の開発に着手した。分布定数型等価回路とは、図8に示すような構成要素の電気回路の等価回路要素であり、実際の燃料電池電極の構成要素との対応が容易であり、実験で得られた性能劣化を示したNyquist線図より、機能低下を構成要素のインピダンスの増加を求めることができる。実験データで取得されたNyquist線図から等価回路の構成要素のインピダンス値を定量化するためには、実験データと等価回路のシミュレーションで得られたNyquist線図とボード線図の形状をカーブフィッティングする必要ガあるが、このシミュレーションソフトには、 電気回路のアナログ動作をシミュレートするソフトウェアSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)を用いた。 この診断法を凍結起動の繰り返しにより性能劣化を示したMEAの診断に適用し、カソード電極層内イオノマーが他の部位より大幅に機能低下を示すなど、各種性能劣化研究に適用している。図5 9分割セルのセパレータと集電部図6 9分割セル通常作動時の発電分布図7 分割電極セルの適用例(凍結起動を繰り返した燃料電池セルの性能劣化分布)図8 TLM(分布定数型)等価回路

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