平成20年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告38るが、配向性CNT電極系のpristine 電極では10%前後であるのに対し、NH3ガス処理によりCNTを化学修飾した電極では20%以上を示す。さらにアノード酸化ピーク電位はよりカソード側にシフトし、水素の酸化(放出)反応の過電圧減少による特性の向上も達成した。また、CNT(廃タイヤ抽出油)電極系のQa/Qc値も数%程度を示すと同時に、水素保持能力も有し、修飾により高性能化が期待できる。 吸蔵水素の存在は、電極表面の色の変化(水素吸蔵により電極は白っぽくなり、放出によりもとの黒色にもどる。)および吸蔵後の電極電位の時間変化(水素チャージされた電極は、−0.8〜−0.9Vのrest potentialを維持し続けるが、電極中に吸蔵されていない場合は、電極のrest potentialは−0.9Vから−0.2V程度まで急速にアノードシフトする。)から観察できる。(b)界面微分容量特性:試験極の界面微分容量はほぼ一定時間の周期的に変化し、容量値の変化振幅量は吸蔵時間とともに小さくなる傾向を示す。水素のCNT電極への電気化学的吸蔵は、連続的に起こらず、水素吸蔵サイト近傍の周期的に変化する水素分圧が反応進行に重要な役割を果たしていることが示唆された。(c)界面複素インピーダンス特性:吸蔵水素の動特性を理解するため、所定のアノード分極電位で界面複素インピーダンスを検討した。水素のアノード酸化電位により、明らかに異なる形状の容量性インピーダンスが得られた。水素の吸着容量、吸蔵水素の拡散抵抗と電極の不均質性等を通常の等価回路に加味し、各素子のパラメータ解析を行った。パラメータフィッティングの結果から空間的拡散の重要性が示唆された。・ 酸素−水素燃料電池特性: 比較的良好な酸素および水素電極特性を示したCNTを活用した酸素−水素燃料電池の特性と、参照のために市販の田中貴金属性の電極触媒(Pt:30%、 Ru:23.3%担持カーボンブラック)の特性について検討した。当研究室で調整した試験試料の電池特性は、市販の電極触媒を使用した電池のそれに比べて約50%で、最大出力時の電流値もほぼ50%であった。しかし、酸素極および水素極は、試験CNTの高純度化、化学修飾、ナノ複合化等により反応活性が向上するため、より高性能な電池系を構築できる示唆が得られた。

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