平成20年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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本戦略的大学連携支援事業の取組担当者として、大学教育改革プログラム合同フォーラムに出展したが、その成果、感想などを「武蔵工業大学教育年報」に寄稿した。以下に、その記事をもとに、この戦略的連携支援事業が主に武蔵工業大学に与えた影響などを示す。1. 合同フォーラムの概要 平成21年1月12、13日の両日に渡り、文教協会主催で平成20年度「大学教育改革合同フォーラム」が開催されました。本学も室蘭工大との「戦略的大学連携支援事業」について、その内容をポスターセッションで発表して参りました。武蔵工業大学より片田敏行(取組担当)、末政直晃、渡辺健、植村俊子(連携事務局)の4名、室蘭工業大学より岸徳光(取組担当)、関川、吉川(連携事務局)の3名が出席しました。 文部科学省は、教育全般に渡り様々な改革支援事業を行っていますが、国公私立大学を通じた大学教育改革を積極的に支援するプログラムには、有名な「グローバルCOEプログラム」の他に、「質の高い大学教育推進プログラム」、 「大学院教育改革支援プログラム」、「 大学教育の国際化加速プログラム」、「 社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」、「 新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」、「専門職大学院等における高度専門職業人養成教育推進プログラム」、「産学連携による実践型人材育成事業」、「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」など多くのプログラムがあります。 各プログラムに選定された各大学は、気合いの入った発表ポスター、パソコンでの動画による展示、良くできたパンフレットを用意して、一人でも多くの人に聞いていたらいたいという意欲に燃えていました。中には、法被を着て幟を立てて呼び込みをするところまでありました。また、参加者は各大学のブースを回り、ヒアリングと資料集めに熱中し、「よその大学に負けてなるものか」という気迫が感じられました。2. 文科省の大学教育改革支援事業の意義 合同フォーラムの群衆の中で、「なぜ、大学人はこんなに夢中になるのか?」ということを考えました。今回の室蘭工大との連携支援事業は、本学事務局担当者より協力依頼があったのが契機でした。始めは、その社会的意義より事務局の熱意に引きずられたというのが本心でした。しかし、パシフィコ横浜のフォーラム会場にいるとき、文科省の施策ではあるが、それ以上に「社会が大学教育の質的向上」を望んでいるのだと思いました。言い換えれば、社会には大学教育に対する不信感が充満しているのだと思いました。従前のように「卒業証書」を与えるだけでは、学生も、親も、社会も納得してくれない。それだけ、世間の目が厳しくなって来ているといえます。少子化の上、規制緩和で大学の数だけは増えていきます。経済原理で云えば、供給過剰ですので、値段が下がる、売れないと倒産ということになります。それを乗り越えるのは「質の向上」です。だから文科省は大学教育改革支援事業を推進しているのか!ここまで支援事業をしているのに、改革しないで受験生に選ばれなかった大学が社会から消えてもしょうがない。こんな論理かな?との思いに至った次第です。3. 室蘭工大との連携事業の社会的意義 私立大学と国立大学が広域かつ総合的に連携するという「戦略的連携支援事業」、その狙いは何か?今回のケースについて、よく聞く話に、室蘭工大にしかメリットはないのではないか?この連携は、水素だけの話である。私は、そうではないと思っています。これまで、大学はほとんど不況知らずで、自主独立を貫けた数少ない産業といえます。しかし、時代の流れあるいは経営能力によって、大学が統合、倒産に至って例は多くあります。その意味で、文科省とい■推進事務局61大学教育改革プログラム合同フォーラムに参加して武蔵工業大学 工学部長 片田 敏行

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