平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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110平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書 資料編台風が発生しているわけです。あまりにも被害が大きくなると災害に復旧が追いつかなくなる心配が出てきます。例えば、2005年ハリケーンカトリーナに襲われたニューオリンズは、人口48万人いたのですけれども、被災後、半分以下になりました。ことしの時点でもまだ3分の2までしか戻っていません。放棄される都市、地域が出てくる。いまだに被災当時のまま放置されているところもあるということです。温暖化が進みますと熱帯低気圧の数は減るのですが、一つ一つの勢力が強くなると予想されております。今後も被害が相次ぐと心配されるわけです。北極の氷、海氷がなくなると言われております。数年前盛んに言われ始めたころは2080年にはなくなるという話しでしたが、その後新しい研究結果が出るたびに、いや2050年にはなくなるだろう、いや2040だろうと。去年発表されましたイギリスのイースト・アングリア大学のティム・レントン教授らの研究によりますと夏の北極の海氷はあと10年しか保ちません。2020年にはなくなってしまうかもしれないという予想になっているのです。おととし北極の海氷面積は史上最小を記録しました。それまでの記録に比べて日本列島3個分が一気に小さくなってしまったのです。北極の海氷は海に浮かんでいる氷ですから、これが解けても直接海面上昇にはつながりません。問題なのは大陸の標高の高いところやグリーンランド、南極にある氷河、そして氷床と呼ばれる、場合によっては何キロにもなる氷の厚い層がとけると海面上昇につながります。そういった心配もありますが、これはタイムラグがあると考えられております。気温の上昇があまりにも早いので、氷が解けるのはもっとゆっくりだろうと考えられております。しかしCO2は一度出たらなかなか減りません。スライドの水色の線ですが、2000年の時点で、人工的、人為的な排出量をゼロにした場合でも2100年、2200年で1割程度しか減らないのです。50%削減した場合でも増え続けていきます。2000年時点でキープの場合が黒い線ですが、実際にはこれよりも増えております。一体どこまでいくのだろうということです。なかなか減らないので、CO2の排出が終わったとしても数千年は海面上昇が続くと考えられております。どんどん氷が解けていくのが心配されるわけです。例えば先ほどの研究では、グリーンランドの氷が解けて、300年以上はかかると考えられておりますが、2メートルから7メートル、南極西部の氷が解けて5メートルで、12メートルぐらいは数百年以内に解ける可能性があるということです。ちなみに全部解けると海面は72メートル上昇します。そんなバカなと思われるかもしれません。全部解けるのはあり得ないと思われるかもしれませんが、今は地球の歴史で言うとかなり寒い時期なんです。地球の歴史では3分の2はどこにも氷河がない状態でした。全部解けた状態が普通なんです。今は氷河期なので、氷河があるのです。エッと思われるかもしれません。長い目でみると氷河期の中の暖かい時期を間氷期と言います。全体としては氷河、氷床があるということは氷河期なのです。そう考えると72メートル上昇は歴史上珍しいことではないのです。スライドは北海道で、ここが室蘭です。このあたりの衛星写真ですけれども、もし海面が12メートル上昇したらどうなるのか。海岸線沿いはかなり沈みます。もし海面が72メートル上昇したらどうなるか。洞爺湖は湖ではなく湾になります。このような状態になってしまうのです。こうならないようにしなければならないわけですが、でも歴史上で暖かい状態になると海面が上昇するのは当たり前なのです。例えば300万年前は今よりも2度か3度高かったのです。その時の海面は2、30メートル高かったのです。ということは今国際的に2度とか2.5度ぐらいにおさめようと言っていますが、もしそれが実現できたとしてもやはり2、30メートルは海面が上昇するのです。おさめられたら、はい、OKではなくて、そこからさらに数千年にわたる海面上昇との戦いは続くのです。もし温度が4度上がったらどうなるか。4千万年前がそうでした。その時は70メートルいきました。つまり全部の氷が解けている状態です。平均

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