平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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122平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書 資料編した。こちら側にウェルツーホイルですから、油田から車を走らせるまでの効率です。単位はメガジュールとかになって分かりにくいですが、ここにガソリンがございます。ガソリンが大体リッター15キロとしますと、解り易く言うと半分または2.5分の1、これが燃料電池の熱効率のイメージでございます。CO2排出に関しましても、ウェルツーホイル、すなわち油田から車を動かすまでですが、ガソリンの数字に対して約半分以下であるというのが分かっております。もう一つ、電気自動車があります。電気自動車は燃料電池よりCO2の排出も、効率も高い。では燃料電池自動車はいらないんじゃないか、電気自動車でいいじゃないかという短絡思想なのですが、後ほど決着をつけさせていただきます。これは先ほどのシミュレーションの値です。実際に経産省が実施しているJHFCの実証試験のデータで車速に対する燃料電池の場合の燃費です。このデータを取るために2856点のデータを取っております。従来のガソリンエンジンも同じルートを走っています。それは約2倍ぐらいです。もう一つプリウスタイプのハイブリッドのデータがございます。見て分かりますようにまだ開発途上ですから、多少低速でプリウスプラスには及ばないです。これが燃料電池自動車の実力でございます。試験は首都圏中心で走っている乗用車で、ご存じのメーカーや外国メーカーもGMとメルセデスベンツがございます。マツダのRX-8は水素エンジンです。燃料電池自動車のバスが中部空港セントレアで知多駅からお客様を機内に乗せるまでを運んでおります。1日1便ぐらいなので乗るチャンスはあるかどうか。愛知博で使ったものを中部空港で使っています。JHFC2が2006年から始まっています。大阪を拠点にして小さな燃料電池も実証試験をしてデータを取っております。使った予算は、最初の立ち上がりで25億円で、ステーションを作るためにかかったお金です。現在は2009年のデータはございませんが、昨年度で13億円をかけて実証試験をしています。以上は日本の話しですが、アメリカの立場を少し説明いたします。自動車に対する期待は同じでございますが、もう少しすそ野が広くなっています。ということでDOEのスタンスが公表されております。一つは、すでにアメリカでは燃料電池ユニットが5万2千、昨年度でも1万8千ユニットが実施されているのです。この中にはリン酸形の200キロワットの燃料電池も含めて、もしかすると実験用の1枚5万円ぐらいの装置が含まれているかもしれません。それと自動車以外にフォークリフトやバックアップ電源用などいろいろな形で商品開発が行われおり、日本より裾野が広く開発が進められております。その背景がここに水素の生産量ですね。ご存じのようにロケットは水素で飛びます。ということで水素の生産量は日本は年間200万トンぐらいですが、アメリカは年間900万トンです。同時にいろいろなパイプラインがあり、1,200マイルの水素のパイプラインがあります。日本より幅広く水素活用の開発、実用化に力が入れられています。燃料電池の課題を紹介させていただきます。まずは耐久性です。DOEはコストも含めて、単に技術開発だけではなく将来どのぐらいのコスト、耐久性になるのかをシミュレーション、データを取りながら予測する業務をしております。日本の研究開発の投資と違うところです。そのデータの紹介ですが2015年のターゲットが5千時間。普通の車でも6年間ぐらいです。2015年の5千時間に対して、昨年度の実績では2千時間しかありません。最大の理由は先ほど紹介したサランラップでございます。例えばこんなことが紹介されています。ここにサランラップの膜があって、両側に電極がございます。膜がもともとは18ミクロンあったのですけれども、薄くなって5か6ミクロンになってしまう。そして穴が空いてしまう。原因は、水が最終的に生成する物質H2Oなのですが、反応のプロセスで途中で止まってH2O2、過酸化水素ができてしまう。それによって電解質膜が溶けてしまうなど、このたぐいのことがたくさん報告されましたので、達成するための技術開発が行われています。次はコストでございます。これもDOEのまとめでございます。コストとして1キロワットあたり何ドルかという単位で管理されていますが分かりにくいので、1ドル100円で計算し、システムあたりを円で表現いたしました。最終ターゲットが2015年でシステムとして約25万円。ターゲットというのは、現在のガソリンエンジンの値段を想定して決められております。前提条件は80キロワットの出力で年間50万機作るという
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