平成21年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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地域連携部会 活動報告連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告48り耐熱ステンレス鋼材料の適用を試みている。今年度は耐熱ステンレス鋼材料として、高温で炭化水素と水蒸気が共存する雰囲気での使用や、SOFCのインターコネクタ材料や自動車のマニホールド材料を参考にして選定したDIN1.4841(SUS310S相当)、SUS316L、SUS430L及び既存の材料であるNiを比較することでFe系燃料極材料の可能性を検討した。これらの耐熱鋼の成分を表2に示す。3.1 研究のスコープ 安価に水素を製造する研究開発の一環として、鉄と水から水素を発生させる反応に着目し、反応条件と燃料電池への水素供給について検討すること3.2 研究の進捗 鉄粉を高温の水蒸気と反応させると水素が発生するが、この系に二酸化炭素を加えると反応速度は速くなり、室温でも反応することがわかった。二酸化炭素は炭酸鉄の固体として沈殿するため、二酸化炭素の回収・固定法として利用できる可能性もある。化学反応式は次のとおりである。Fe+H2O+CO2 → FeCO3+H2、ΔH=–69 kJ mol–1 二酸化炭素雰囲気中で市販の鉄粉と水とを攪拌し、ガスクロマトグラフィーによって気相成分の時間変化を調べ、反応速度を求めた。鉄粉の粒径が小さいほど、また高温になるほど反応速度は速くなり、鉄の酸化反応が律速段階であることがわかった。また時間とともに鉄表面には炭酸鉄の固体が析出し、これが反応の進行を阻害することがわかった。一方、ボールミルを用いて鉄粉を粉砕しながら反応させると、反応速度は大きくなり、二酸化炭素分圧に比例した。鉄の粉砕による新生面の露出や炭酸鉄の除去によって、鉄の比表面積および供給速度が増加し、相対的に二酸化炭素→炭酸生成過程が遅くなって、これが律速段階になったと考えられる。鉄の原料として鉄鋼を用いると、その組成によって反応速度は異なり、炭素鋼などで速かった。試験的に、金属加工メーカーより供給された研削スラッジ(油分や無機塩類なども含まれる)を原料としてそのまま用い、反応させたところ、純鉄を用いたときと同様に二酸化炭素の吸収と水素の発生が確認された。 発生した水素を固体高分子型燃料電池に供給すると、時間とともに出力が低下する現象が観察された。反応系内に共存する物質や水素以外に副成した物質が、燃料電池を被毒する可能性が考えられた。3. 廃鉄材料からの水素製造研究表2 鋼種の金属相と成分(Feバランス)

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