平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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3への共同申請、獲得へと自立型推進へ発展させたいと考えています。研究テーマは大きく分けて、次の3グループに分けられます。第1は、水素燃料エンジン搭載車の技術的課題関連です。この課題を解決したことによって、水素燃料エンジンバスと水素ハイブリッドトラックの車両ナンバーを取得することができ、室蘭市で試験走行を実施できました。この試験走行は、社会的にも大きな反響を巻き起こしました。地域振興の一助にもなっていると考えています。さらに、アルミからの水素製造や貯蔵技術の開発にも取り組み、一定の成果を上げることができました。第2は、燃料電池開発に関する研究です。水素を燃料とした定着用燃料電池の要素技術課題にと取り組みました。その結果、アルミから水素を発生させ、燃料電池に蓄えて、その電気で電光表示させると、発生から利用まで一貫したプロトタイプ装置を開発できました。第3は、両大学間の教員で研究分野が近く連携希望があり、その研究申請内容に応じて、研究資金を配分したテーマです。都市大の若手教員が室工大のベテラン教員の指導を仰ぐ形で始まった研究に「宇宙用スターリングサイクルエンジン発電機の研究」があります。また、室工大の白老ロケット実験場や都市大側にある動物実験施設を利用する研究テーマが有ります。いずれのテーマも両大学の施設を共同利用することで可能になりました。以上の研究テーマのうち、すでに実用化段階にあると言っても過言ではない水素燃料エンジン搭載車の開発から、まだまだ、基礎研究段階のテーマまでさまざまです。しかし、いずれも両大学が連携したことによって、ステップアップしたことは間違いありません。学生交流に関して、以下のような事業を行いました。大学院生の交流として連携研究発表会を実施しました。これは、学会前の1日を使って、一緒に発表練習を実践形式で行うもので。学会発表練習と互いの研究テーマの理解、そして学生交流が行われました。実施したのは、電気学会や土木学会の全国大会の開催時です。次年度以降にさらに回数を増やして、学生の人脈拡大に貢献したいと思っています。課外活動ではアイスホッケー部は北海道で、卓球部は都市大で合同合宿練習を行いました。その他、室蘭工大の海外研修プログラムへ都市大の学生の参加などもありました。これらを通して、本連携事業を契機に設けた両大学院の特別推薦入試への応募があることを目指しています。大学運営では、若手職員の相互派遣(2ヶ月)を行いました。私立大学と国立大学間で事務局職員が2ヶ月に渡って交流した例は少ないかと思います。大学に限らず、組織運営は歴史が長ければ長いほど、先例で運営されているものです。これは一種の文化とも言うべきものです。今回の異文化交流が一般職員にとり有意義であり、職員交流の成果発表でも大いに勉強になったとの報告に現れていると考えています。将来、どのように成長し、どのように大学運営を革新してくれるかが楽しみです。室蘭市との地域連携として、2度にわたり大学・地域間連携シンポジウムを室蘭市で開催しました。また、水素燃料バスの試験走行、小学校への出張授業、展示試乗会あるいは水素ハイブリッドトラックの試験走行などが行われました。これらは、新聞やテレビでの大々的な報道によって、本連携事業の内容を周知させるとともに、水素社会を現実なものとして市民にPRできたと考えています。上記に述べたように各種連携事業や交流で、大いに成果が上がったと自負しています。しかしながら、真価が問われるのは、これからかと思います。なぜならば、大学も組織ですので担当者は職責で本事業に携わっていますので任期や人事異動で交代します。それゆえ、どのような自立して連携が推進できる体制を構築するかが重要です。この点に留意し、平成23年度の実施体制と事業計画を立案したいと思います。東京都市大学 工学部長 片田 敏行3
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