平成22年度 戦略的大学連携支援事業 活動報告書
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Alと水とのH2生成反応を行った結果、2gのAlから約2,600mlのH2が得られ、H2以外の生成物はAl(OH)3であることをXRDパターンの測定結果より明かにした。これより、下記の反応式(1)でH2が得られることがわかった。また、急激なH2発生部分を直線近似し、直線と時間軸との交点を誘導期と定義した。この反応には20時間弱と非常に長い誘導期がみられた(図1)。SEMによる観察結果から、この誘導期はAl粒子表面のAl2O3被膜が攪拌により除去されるために必要な時間であると考えられた。そこで、この誘導期を短縮するため高硬度物質およびAl(OH)3の添加を行った。その結果、いずれの場合においても誘導期の短縮効果を確認した(表1および表2)。これらの結果は、Al2O3被膜の効率的な除去により誘導期の短縮効果が得られたためであると説明できる。以上のことから、AlとH2OとのH2生成反応のメカニズムを解明し、効率的にH2を得る方法を明らかにした。2Al + 6H2O → 2Al(OH)3 + 3H2…(1)3.1.2. ステンレス製反応装置の試作と試運転市販のステンレス製小型反応器(図2(上))を用いて反応を行った。その結果、ガラス製容器の場合と同様に、AlとH2Oとの反応によりH2が発生することを明らかにした。そこで、大型反応器(図2(下))を試作し、その試運転を行った。その結果、大型反応装置を用いてAlの切削くずを水と反応させることでH2製造が可能であることを確認した。3.2. 平成21年度の研究成果図3に小型ステンレス製反応装置を用いたAlと水とのH2生成反応を示す。その結果、ステンレス製反応装置を用いても、ガラス製反応器(図1)と同様の誘導期が観察された。したがって、これ以降はステンレス製反応器を用いて反応を行った。高硬度物質およびAl(OH)3の添加などによって反応の誘導期を短縮できることを表1および表2で明らかにした。次に、より簡便かつ実用的な誘導期の短縮法として、反応温度が誘導期に与える影響について検討した。表3に反応温度を変えた場合のAlと水とのH2生成反応の誘導期を示す。反応温度を30℃から40℃以上に上昇させたときに著しい誘導期の短縮効果がみられたが、50℃以上では誘導期はほとんど変化しないことがわかった。したがって、エネルギー(H2)を得るためのエネルギー(熱)の投入は少ないほうが望ましいため、反応温度は50~60℃が適していると考えられる。High hardnessmaterialAmount ofaddition (g)Induction period (h)No addition─21.4BN38.047.4612.8SiC610.9810.51021.9表1 アルミニウム(2.0g)と水(30ml)との水素製造反応に対する高硬度物質の添加効果Al(OH)3addition (g)pHInduction period (h)06.1119.63210.461.51410.631.31610.741.03810.800.891010.970.64表2 アルミニウム(1.0g)と水(30ml)との水素製造反応に対するAl(OH)3の添加効果表4 AlとH2Oとの反応の誘導期に与える撹拌速度の影響(反応温度60℃)表3 AlとH2OとのH2生成反応の誘導期への反応温度の影響 Al:10g,H2O:80ml、攪拌速度:1,350rpm連携推進委員会 活動報告教育研究部会 活動報告大学運営部会 活動報告地域連携部会 活動報告評価委員会81
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