• 趣旨・目的

  • 連携支援事業について

連携取組の必要性及びその背景

(1)両大学の異なる特性と連携

私立と国立、東京と北海道と、大きく異なる両大学の特性は、一方では双方の利点を共有し合う機会でもある。一例を挙げれば、私立大学の効果的運営、国立大学の基礎的教育の充実、冷涼な北海道での夏期の研修や訓練と、温暖な東京での冬期の体育活動などがあり、教育・研究すべての面にわたり相互に活かせる要素も多い。 しかし、両大学は遠隔に離れており、この地理的障害を克服することが要求される。そのため、遠隔講義(e-learning)の導入や宿泊施設の準備などが行なわれる。これにより広い分野にわたり両大学の実りのある交流が実現する。

(2)両大学の諸活動の相互支援

水素エネルギーに関する教育プログラムの両大学での共同作成を皮切りに、工学及び環境科学の広い分野で共同の教育プログラムを作成し、これに従って遠隔講義や出張講義あるいは学生の国内留学など、交流教育を進める。また、相互の大学院での入試の共通化や進学の促進、就職活動の支援、産学協同や技術移転の推進など、学生教育をはじめとする大学の多方面の活動で相互協力を進める。 また、大学職員の交流やサテライトオフィスの提供、共同の広報活動などを通じて、運営業務の合理化を図ることも大きな目的である。

教育研究及び地域社会への影響、効果

武蔵工業大学(現:東京都市大学)にとっては、従来行ってきた実験室的研究開発を、実地で実証的に研究することができ、水素自動車の実用化研究に飛躍的な発展が期待できる。また、室蘭工業大学にとっては、先進的な武蔵工業大学(現:東京都市大学)の水素関連研究の知見と、研究教育資源を活用でき、従来から進められてきた研究への刺激も大きく、相乗的に水素関連の研究開発に拍車がかかる。
これらの大学間で調整されて作成される教育プログラムは、水素エネルギーの製造から利用に至る技術体系にかかわる高い水準のものとなると考えられ、遠隔講義、出張講義、交流教育等と相まって、水素エネルギーに関する高度の知識、技術を有する人材の育成が可能となる。
さらに本事業では地元産業や行政、地域住民の啓発にも寄与する機会を設けることを想定している。言うまでもなく本事業の成果が実用に供されれば構造的な苦境に立つ室蘭地域の産業振興にも大きく寄与することは明らかであり、さらに本事業の実証実験段階では国内外からの調査見学者の来訪が予想され、短期的にも地域振興の効果は少なくないといえる。